用語説明

大気汚染予測システム(Fcast)

福岡県保健環境研究所が平成30年度から開発してきた、福岡県内の大気環境をシミュレーションし大気汚染物質の濃度を予測するシステム。
「気象データ(領域気象モデルにより計算)」「排出量データ」を基に、大気汚染物質の濃度シミュレーションを行っている。
また、AI技術を活用して予測結果を自動補正(過去の誤差傾向を基に補正)する機能も備えている。

本システムは、福岡県内の大気汚染を予報するシステムであることから、「福岡のF」に、「予報forecatの一部cast」を加え、愛称を「Fcast(エフキャスト)」としている。
なお、Fcastは大気汚染予報システムの英語表記「Fukuoka Air Pollution Forecast System」の略称にもなっている。

Fcast ロゴマーク

①光化学オキシダント

光化学オキシダントとは 自動車の排気ガスや工場の煙などに含まれている汚染物質が、太陽の強い光を浴びて変化し、光化学オキシダントという有害物質になります。
この物質が大気中に溜まると、白いモヤがかかったようになり、光化学スモッグが起きます。
目がチカチカしたり、のどが痛くなったりするなど、私たちの健康に被害が出るほか、植物にも害を与えます。
<環境基準値>
1時間値が0.06ppm以下であること
<注意報の発令基準>
1時間値が0.12ppm以上になり、気象条件からみてその状態が継続すると認められる場合
※ ppm(ピーピーエム)とは100万分の1のこと。

※説明は、環境省「こども環境白書」(平成27年11月発行)を参考とした

予測値
(1時間値の最高値)
表示方法 注意点
0.030ppm以下
低い
〇光化学オキシダントの濃度は、低い見込みです。
0.031~0.060ppm
※環境基準(1時間値)適合

少し高い
〇光化学オキシダントの濃度は、少し高い見込みです。
0.061~0.089ppm
※環境基準(1時間値)超過

高い
〇光化学オキシダントの濃度が、高くなる見込みです。
〇呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、念のためお気を付けください。
0.090~0.119ppm
かなり高い
〇光化学オキシダントの濃度が、かなり高くなる見込みです。
〇特に呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、野外での激しい運動を控えるなど慎重に行動されることをお勧めします。
0.120ppm以上
※注意報発令基準(1時間値)超過

非常に高い
〇光化学オキシダントの濃度が、非常に高くなる見込みです。
〇実際に濃度が高くなった場合は、注意報を発令する可能性がありますので、情報に注意してください。
〇特に呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、不要不急の外出を控えるなど慎重に行動してください。

②微小粒子状物質(PM2.5)

微小粒子状物質(PM2.5)とは 大気中にある2.5μm*以下のとても小さな粒子(細かい粒)状の汚染物質のことです。
とても小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、人間の健康に悪い影響を与えます。
PM2.5は、人間の暮らしによって大気中に出された汚染物質が原因となって発生するほか、火山の噴火などの自然現象が原因となっても発生します。
* 1μm(マイクロメートル)は1ミリメートルの1,000分の1。人間の髪の太さは約70μm。
<環境基準値>
1年平均値が15μg/㎥以下であり、かつ、1日平均値が35μg/㎥以下であること
<注意喚起の発令基準>
暫定的な指針値である日平均値70μg/㎥を超えると予測される 場合
※ μg(マイクログラム)とは、100万分の1g(グラム)のこと。

※説明は、環境省「こども環境白書」(平成27年11月発行)を参考とした

予測値
(6時間平均値の最高値)
表示方法 注意点
15μg/㎥以下
※環境基準(年間平均値)未満

低い
〇微小粒子状物質(PM2.5)の濃度は、低い見込みです。
16~35μg/㎥
※環境基準(日平均値)以下

少し高い
〇微小粒子状物質(PM2.5)の濃度は、少し高い見込みです。
36~49μg/㎥
※環境基準(日平均値)超過

高い
〇微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が、高くなる見込みです。
〇呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、念のためお気を付けください。
50~70μg/㎥
かなり高い
〇微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が、かなり高くなる見込みです。
〇特に呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、外出する場合はマスクを着用するなど慎重に行動されることをお勧めします。
71μg/㎥以上
※注意喚起基準(日平均値)超過

非常に高い
〇微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が、非常に高くなる見込みです。
〇実際に濃度が高くなった場合は、注意喚起を発令する可能性がありますので、情報に注意してください。
〇特に呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、不要不急の外出を控えるなど慎重に行動してください。

③二酸化硫黄(SO2

二酸化硫黄(SO2)とは 二酸化硫黄(SO2)は、硫黄分を含む石油や石炭を燃焼させることにより生じるほか、火山性ガスにも多く含まれています。
SO2は、四日市ぜんそくなどの公害病の原因物質として知られており、呼吸器系を刺激し、せき、ぜんそく、気管支炎などの障がいを引き起こします。
また、酸性雨の原因物質となることも知られています。
<環境基準値>
1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること
<注意報の発令基準>
次のいずれかに該当した場合
(1) 1時間値が0.2ppm以上である状態が3時間継続したとき
(2) 1時間値が0.3ppm以上である状態が2時間継続したとき
(3) 1時間値が0.5ppmm以上である状態になったとき
(4) 1時間値の48時間平均値が0.15ppm以上である状態になったとき
※ ppm(ピーピーエム)とは100万分の1のこと。

※説明は、環境省「平成8年版環境白書」、EICネット(環境用語集)などを参考とした

予測値
(1時間値の最高値)
表示方法 注意点
0.010ppm以下
低い
〇二酸化硫黄の濃度は、低い見込みです。
0.011~0.040ppm
※環境基準(日平均値)以下

少し高い
〇二酸化硫黄の濃度は、少し高い見込みです。
〇硫黄臭を感じる可能性はありますが、健康影響を心配する状況にはならない見込みです。
0.041~0.100ppm
※環境基準(日平均値)超過

高い
〇二酸化硫黄の濃度が、高くなる見込みです。
〇呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、念のためお気を付けください。
0.101~0.199ppm
※環境基準(1時間値)超過

かなり高い
〇二酸化硫黄の濃度が、かなり高くなる見込みです。
〇特に呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、野外での激しい運動を控えるなど慎重に行動されることをお勧めします。
0.200ppm以上
※注意報発令基準(3時間継続)超過

非常に高い
〇二酸化硫黄の濃度が、非常に高くなる見込みです。
〇実際に濃度が高くなった場合は、注意報を発令する可能性がありますので、情報に注意してください。
〇特に呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、不要不急の外出を控えるなど慎重に行動してください。

④黄砂

黄砂とは 黄砂とは、東アジアの砂漠から強風により大気中に舞い上がった砂(土壌・鉱物粒子)が、浮遊しつつ降下する現象です。
日本へ飛来する粒子の大きさは4μm 付近のものが主ですが、一部 2.5μm 以下の微小な粒子も含まれているため、PM2.5 の測定値も上昇することがあります。
また、黄砂が輸送される過程で、大気汚染物質の発生が多い地域を通過する場合、これらの物質とともに日本へ飛来することがあります。
なお、明確な結論は得られていませんが、黄砂による健康影響については、アレルギー症状を引き起こす、喘息等の症状が悪化する等の報告もあります。
* 1μm(マイクロメートル)は1ミリメートルの1,000分の1のこと。人間の髪の太さは約70μm。

※説明は、環境省「黄砂とその健康影響について」(2018年3月発行)を参考とした

予測値
(6時間値の最高値)
表示方法 注意点
視程10km以上相当
飛来予測なし
〇黄砂の飛来は予測されておりません。
視程10km未満相当
飛来予測あり(影響小)
〇黄砂の飛来が予測されております。(風景がぼんやりと霞む程度)
〇黄砂の飛来により、微小粒子状物質(PM2.5)が高濃度となる可能性があります。
〇特に呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、外出する場合はマスクを着用するなど慎重に行動されることをお勧めします。
視程5km未満相当
飛来予測あり(影響大)
〇黄砂の飛来が予測されております。(車や洗濯物などの表面への砂の付着が目立ち始めるレベル)
〇黄砂の飛来により、微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が高濃度となる可能性があります。
〇特に呼吸器系や循環器系に疾患をお持ちの方、アレルギー体質の方、高齢者・小児の方は、不要不急の外出を控えるなど慎重に行動してください。

※予測値は、気象庁ホームページを参考とした

※黄砂の濃度を視程に換算したものであり、実際の大気の視程を予測するものではありません。